すすまなーい。

 
 ストラップ13。



《アンタなにやってたのよ、携帯に出られないような所にいたわけ?》
 綾子の怒った声に直江はすまない、とだけ答えた。
《高坂商事の例の件、ちょっと至急確認しなくちゃいけないことがあって。千秋に引き継いでたやつ……》
「ああ、それは――」
 頭を仕事に切り替えてなんとか電話を終わらせ、直江は携帯を閉じた。
 視界の片隅に仔虎が映る。
(高耶さん)


 会いたい。会いたい。
 会いたくない。会えない。


 直江は携帯から仔虎を外した。


「仔虎さん……」
 まるで高耶の分身のように思えるそれを、直江は掌にそっと収めた。


 高耶の笑った顔、怒った顔、唇を尖らせた子供っぽい表情、真摯に直江を見つめる瞳、僅かに開いた唇で直江を誘うように見上げる顔。
 どれ一つとして直江の心から去ったことなどない。
(いつから俺はこんなに情けなくなったんだ)
 彼から逃げてから。
 答えはあまりにすぐに出てきて、直江は嗤った。




 ぐるぐるーが止まらない。
 仔虎さんからも多分説教されますよ直江さん……。
 どうやったら動くの直江さん!


Comment:
2010/03/04 12:25 AM, とみ wrote:
弥勒様登場で直江も重い腰をあげるかと思ったのに…! こうなったら高耶さん本人に現れてもらうというのはどうですか?
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